農地法の許可が必要となるケースとしては、次のようなものがあります。
◎農地又は採草放牧地の所有権を移転する場合
◎農地又は採草放牧地に、地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利を設定又は移転する場合
◎農地又は採草放牧地に、賃借権を設定又は移転する場合
◎農地又は採草放牧地に、その他の使用及び収益を目的とする権利を設定又は移転する場合
これらの「法律行為」を行う場合、当事者間で合意しても法律上の効果は発生せず、農業委員会で農地法3条の許可がなければ、農地の権利の移転や設定は成立しません。
逆に、法律行為以外(相続、時効取得、法人の合併等)により取得する場合は、農地法3条の許可申請を行う必要はありません。ただし、農業委員会が農地の権利変動を把握する必要があることから、これらの場合には農業委員会に対する届出が必要となります。
農地法3条の許可の主な基準としては、次のようなものがあります。
・申請者が、所有するすべての農地を効率的に利用して耕作すること
・申請者が、農作業を常時従事(原則年間150日以上)すること
・経営面積が下限面積50アール(5,000平方メートル)未満でないこと
※下限面積は、各市によって条件が緩和されている場合があります。
・周辺農地の営農条件に影響を与えるおそれがないこと
◎所有している農地を、自ら耕作目的以外に利用する場合
所有している農地を、住宅や工場等の建物敷地、資材置き場や砂利採取場(一時的な場合も含む)、駐車場等、農地以外として使用する土地へと転換する「転用」を行う場合等に必要となります。たとえば、太陽光パネルの設置による「ソーラーシェアリング」等を行う場合です。
◎農地を取得(移転)又は借りて(賃借権の設定)、耕作目的以外に利用する場合
農地法4条の許可と同様に「転用」を行う場合等に必要となりますが、農地法5条の許可はその農地が他者のものである場合に必要となります。
農地法4条及び5条の許可の主な基準としては、次のようなものがあります。
・立地基準を満たしていること
・目的どおりに確実に土地を使用すること
転用に必要な資力等があるか、遅滞なく転用目的に供することが確実か、他法令の許認可の見込みはあるか、 計画面積が妥当であるか等を確認されます。
・周辺農地の営農条件に影響を与えるおそれがないこと
土砂の流出又は崩壊を発生させるおそれはあるか、農業用用排水施設の機能に影響を及ぼすおそれはあるか等を確認されます。
・一時的に農地を農地以外に利用する場合は、事業終了後に確実に農地に復元すること
なお、農地法64条1項にて、農地法の3条から5条に該当する土地で許可を受けずに農業を実施した場合は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する」と規定されていますのでご注意ください。