「経営所得安定対策」とは、国が担い手農家の方の経営の安定に資するため、諸外国との生産条件の格差から生じる不利を補正する交付金(ゲタ対策)と、農業者の方の拠出を前提とした、農業経営のセーフティネット対策(ナラシ対策)を行う制度です。
また、この制度では、食料自給率や食料自給力の維持向上を図るために、飼料用米、麦、大豆等の戦略作物の本作化や、水田のフル活用を図る水田活用の直接支払交付金(水活)の交付も行われます。
ゲタ・ナラシ対策の交付対象者は、次の方に限られます(規模の要件はありません)。
◎認定農業者
認定農業者になるためには、自らが行う農業経営の5年後の目標やその達成に向けた取組等を内容とする「農業経営改善計画」を作成し、市町村、都道府県(営農範囲が市町村をまたがる場合)、国(営農範囲が都道府県をまたがる場合)のいずれかから「認定」を受ける必要があります。
◎認定新規就農者
認定新規就農者になるためには、経営を開始してから5年後の目標やその達成に向けた取組等を内容とする「青年等就農計画」を作成し、市町村から「認定」を受ける必要があります。
なお、すでに農業経営を開始している方でも、経営開始5年以内であれば認定申請が可能です。
◎集落営農
集落営農としてゲタ・ナラシ対策に申し込むためには、事前に次のような組織の規約を作成し、対象作物の共同販売経理を実施することを書類等で示す必要があります。
- 組織の規約の作成
代表者、構成員、総会、農用地、農業用機械等について、利用や管理に関する事項等を定めた組織の規約を作成する必要があります。 - 対象作物の共同販売経理の実施
①集落営農の口座を設け、②対象品目について組織名義で出荷し、③その販売代金等を組織の口座で受け取り、費用控除後に生じた利益を販売や出荷をしたすべての構成員に対して配分する必要があります。
上記を行う例としては、集落営農の法人化や、農地利用の集積等です。
なお、組織の規約及び対象作物の共同販売経理の実施については、ゲタ・ナラシ対策へ申し込む前に市町村から認められる必要があります。
ゲタ対策(畑作物の直接支払交付金)は、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょ、そば、なたねの当年産の出荷及び販売の数量に対して交付されます。
ナラシ対策(米・畑作物の収入減少影響緩和交付金)は、米、麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょの当年産の販売収入の合計(当年産収入額)が過去の平均収入(標準的収入額)を下回った場合に、その差額の9割が補てんされます。
なお、他の交付金としては、麦、大豆、飼料作物についての「水田活用の直接支払交付金」や「新市場開拓に向けた水田リノベーション事業」、「麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクト」等があります。