農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)とは、次世代を担う農業者となることを目指される方に対し、農業を始める前の研修を後押しする資金と、農業を始めた直後の経営確立を支援する資金を交付する制度です。
農業を始める前の研修資金の交付は「準備型」といい、研修期間中について、最長2年間、年間で最大150万円が交付されます。
準備型の交付対象となる方は、次の要件を満たす必要があります。
◎次の①~③のいずれかに該当する認定新規就農者であること
①「就農予定時」の年齢が原則50歳未満の新規就農者
②特定の知識、技能を持つ中高年齢(65歳未満)の新規就農者
③上記①②のいずれかの方が役員の過半数を占める法人
※「認定新規就農者」とは、市町村で「青年等就農計画」の認定を受けた方のことを指します。
◎独立就農や自営就農、または雇用就農(法人などで毎月決まった給与を受けて農業を行うこと)を目指していること
親元で農業を始める方は研修終了後5年以内に経営を継承するか、または農業法人の共同経営者になる必要があります。
◎都道府県等が認めた研修機関等で、約1年以上(1年につき、約1,200時間以上)の研修を受ける方(準備型の場合)
※先進農家などで研修を受ける場合は「農の雇用事業」の方で支援されると変更されたため、準備型の対象外
◎常勤の雇用契約を締結していないこと
◎生活保護、求職者支援制度など、生活費を支給する国の他の事業と、重複して受給していないこと
◎原則「青年新規就農者ネットワーク(一農ネット)」に加入すること
なお、国内での2年の研修に加え、将来の営農ビジョンとの関連性が認められて海外研修を行う場合は、交付期間の1年延長を受けることができます。
①研修計画の承認申請
地域を管轄する都道府県によって定められた募集期間内に、申請書類一式を提出します。
※募集期間は地域を管轄する都道府県によって異なりますので、あらかじめ期間を確認することをおすすめします。
②面談の実施
①の申請を受けて、都道府県が面談を実施します。面談は、募集期間の最終日から1ヶ月以内を目途に行われます。
③計画の承認又は不承認の通知
都道府県から、研修計画の承認又は不承認の通知がされます。
④農業次世代人材投資資金交付申請書の提出
研修計画の承認を受けた方は、都道府県から指定された期日までに、交付申請書を提出します。
交付申請は、基本的に半年分又は1年分を申請でき、交付資金の対象となる期間の最初の日から1年以内に行うことができます。
※交付申請の対象期間が半年未満の場合、申請の額は研修期間を月割にして算出します。
⑤農業次世代人材投資資金の交付
交付申請書提出期限から約1ヶ月後に、資金が交付されます。
※受給終了後、引き続き受給対象の研修に準ずる研修を行う場合は、継続研修計画を作成し継続する研修の開始後1ヶ月以内に、①の手順を踏まえて「継続研修届」を提出することができます(継続研修の交付は、原則として2年以内に限ります)。
以上が必要ですが、要件を満たし書類を揃えても、地域を管轄する市区町村自体の農地計画や予算の関係によっては、交付がされない場合もありますのでご注意ください。
なお、準備型の資金交付を受けた方は、研修状況報告書を半年ごとと交付対象期間経過後1ヶ月以内に、交付を受けた役所へ提出する必要があります。
また、研修終了後は6年間、毎年の7月末及び1月末までに、その直前の6ヶ月間の就農状況報告書を、交付を受けた役所へ提出する必要もあります。
【交付金を返還すべき場合】
次のような場合は交付金を返還しなければなりませんので、ご注意ください。
◎適切な研修を行っていない場合
◎研修終了後1年以内に、原則45歳になるまでに独立就農や自営就農、または雇用就農(法人などで、毎月決まった給与を受けて農業を行うこと)をしなかった場合
◎交付期間の1.5倍(最低2年間)の期間を経るまで、独立就農や自営就農、または雇用就農を継続しない場合
◎親元で農業を始めた方の場合に、就農後5年以内に経営の継承をしなかった場合または農業法人の共同経営者にならなかった場合
◎独立就農や自営就農を始めた後、5年以内に認定農業者または認定新規就農者にならなかった場合
※「認定農業者」とは市町村から農業経営改善計画の認定を受けた、農業経営者や農業生産法人のことです。また「認定新規就農者」とは青年等就農計画を作成して就農希望の市町村に計画書を提出し、認定を受けた方のことです。認定を受けると、その都道府県や市町村の関係機関から、支援を受けることができます。