まず「GAP」とは「Good Agricultural Practice」の略のことで、農林水産省では「農業生産工程管理」と訳されています。

GAP認証の手続きとは、農業者の方が持続可能な農業生産を確保するため、食品安全、環境保全、労働安全の持続可能性の確保と農業経営の改善や効率化を図る取り組みを行う旨を申請し、認証を受ける手続きのことをいいます。

GAP認証は世界的に認められているもので、海外へ販路を拡大したい場合は「GLOBAL G.A.P.」、日本で販路を拡大したい場合は「JGAP」又は「ASIAGAP」の認証を受けることが効果的です。

JGAPやASIAGAPは大手のスーパーから取得を要求される場合もあるため、GAP認証を取得すれば販売機会を増やし、販路の拡大等につなげることができます。

また、GAP認証を取得すると、生産管理の見える化、従業員の自主性や職場環境の安全性の向上につながります。従業員とともにGAPを実践することで、リスク等に対する従業員の意識の向上や、作業効率の改善につなげることができます。

ただし、農業者の方が単体で手続きを行う「個別認証」の場合、第三者認証(民間団体によるGAP認証)等の場合は約10万円~44万円の審査料や審査員の旅費等が発生します(都道府県のGAP認証等、申請先によっては無料)。複数の経営体(法人や個人)が共同で認証取得する「団体認証」であれば個々の負担は減りますが、個別認証も団体認証も更新料はかかります。

GAP認証の手続きは、具体的には次のような内容となっています(申請先により異なります)。

対象者(申請者)・・・農業者(法人を含む)、農事組合法人、農地所有適格法人、生産部会等の団体}
※農業高等学校等が対象となる場合もあります。

対象品目・・・野菜、果樹、茶、米、麦、きのこ、その他作物(食用)、その他作物(非食用)等
※原則的に、生産する品目ごとに申請を行う必要があります。

点検(審査)内容・・・食品安全、環境保全、労働安全に関する点検項目
※日本のGAP認証の場合は、農林水産省が定めている「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」に沿った取り組みであるかどうか等を点検されます(自己点検も必要です)。

審査期間・・・およそ2か月(申請先による調査や審査委員会の開催日程を含む)

取得した認証の有効期間・・・2年又は3年(都道府県のGAP認証等の場合)
※GAPの種類によって、有効期間は異なります。
※審査期間を考慮すると、有効期間が満了する日の2か月前までに更新申請を行う必要があります。

なお、GAP認証を受けた農業者の方に対しては、取得した認証を維持更新できるようにするため、たとえば東京都の「農家認証取得支援事業」等、更新に係る審査料や研修受講費等の助成を受けられる制度もあります。