まず「GAP」とは「Good Agricultural Practice」の略のことで、農林水産省では「農業生産工程管理」と訳されています。
GAP認証の手続きとは、農業者の方が持続可能な農業生産を確保するため、食品安全、環境保全、労働安全の持続可能性の確保と農業経営の改善や効率化を図る取り組みを行う旨を申請し、認証を受ける手続きのことをいいます。
そして「グローバルGAP(GLOBALG.A.P.)」とは、世界基準の農業認証のことを指します。
グローバルGAPは、食品安全、労働環境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する優良企業に与えられる世界共通ブランドとなっていますので、対象となる農作物をヨーロッパへ輸出する場合は、原則として認証を取得する必要があります。
グローバルGAP認証は、ヨーロッパを中心に世界120カ国以上で実践されています。グローバルGAPの規格は農作物全般や畜産に加え、水産養殖にも適用されており、今や大手小売も調達基準に採用する等、世界的な影響力を強めています。そのため、海外へ販路を拡大したい場合はグローバルGAPの認証を受けることが効果的です。
グローバルGAP認証の手続きは、主に次のような流れで行います。
①基準の理解と内部監査等により、現状把握を行う
「日本GAP協会」や「GLOBALG.A.P.協議会」等で、グローバルGAPの基準等の基礎知識を学び、社内での内部監査等を行うことにより、どのような対策が必要かを洗い出します。
②不適合部分に対する対策を行う
③認証審査会社にグローバルGAP認証の申請を行い、本審査を受ける
グローバルGAP認証には、次のような種類があります。
- 個別認証・・・個人生産者や小規模生産グループ向けの手続き
※申請には審査料や審査員の旅費等がかかりますので、予め確認することをおすすめします。 - 個別認証(マルチサイト)・・・個人生産者、1つのJAや農業法人が複数の生産地を持つ場合の手続き
※「QMS(品質の適合性基準)」という内部管理ルールの運用有無を選択することができます。 - グループ認証・・・JAや生産法人が、グループメンバーをまとめて申請する手続き
※内部監査員と内部検査員を確保し、QMSを内部運用することが必要となります。
④本審査で受けた指摘事項への対応を行い、再審査を受ける
⑤認証書の発行を受け、グローバルGAP認証を取得する
申請から認証書の発行までは、2か月は想定しておく必要があります。
主に以上の流れで、グローバルGAP認証を取得することができます。
グローバルGAP認証の有効期間は、2年間です(認証の内容によっては異なる場合があります)。ただし、認証書の発行から約1年後に「維持審査」を受ける必要があります。また、認証状態を継続するためには有効期間が切れる前に更新手続きを行い「更新審査」を受ける必要があります。